恕のたより vol.39

朝のあいさつに迎えられて気持ちいい一日を

- 学校長通信第39号 -      学校長 高野 茂

看護学科は八月末から後期が始まっていますが、理学療法学科・作業療法学科も今週から後期の授業が開始されました。今年の夏は、猛暑が続いて、至る所で最高気温が塗り替えられたようです。
また、先週の六日午前三時には、北海道胆振地方中東部を震源とする地震が発生しました。地震の規模は6.7で最大震度は震度七を記録しました。私たちは二年前に熊本地震を経験しましたが、皆さんの中には、あの時の恐怖がよみがえってきた人もあるのではないかと思います。私の友人も震源の近くの高等学校に勤務されており、大変だったのではないかと心配しているところです。
さて、今週は朝から自治会の学生諸君が校門入り口に立ってあいさつ運動をはじめました。あいさつは人と人とのコミュニケーション手段として重視されていますし、何よりもすがすがしい気持ちになります。私は、この学校に勤めてお世話になっていますので、学校にはいるとき、出るときには感謝を込めて一礼するようにしています。
後期は、専各連体育大会、一心祭など様々な行事もあります。みんなで力を合わせて頑張っていきましょう。

恕の便りも長らく休んでしまいました。これから、また出していきます。

恕のたより vol.38

学校法人青照学舎の「学校説明会」が行われました。

学校長通信「恕のたより」-第38号-   学校長 高野 茂

去る6月11日(月)の午後13時30分からの校内見学をはじめに説明会が行われました。熊本県内公私立の高校等から多くの先生方の参加を得て、開催されました。青照館や駅前校の様々な取り組みや現状についての説明や来年度募集要項の説明と質疑応答が行われ、最後に在校生との懇談会を経て、無事終了しました。その後、アンケート記入や個別相談が行われました。参加いただきました先生方ありがとうございました。説明会での私の挨拶の骨子は次のとおりです。
メディカルカレッジ青照館は平成12年に開校した学校で、卒業生は県内外の多くの病院施設に勤務していますが、なかには、現在、大学で教鞭を執っている卒業生もいます。三角という自然に恵まれた環境のなか師弟一如の精神で、少人数による指導が徹底していることが青照館の強みだと思います。
一方、駅前校は、平成20年に開校し10年目を迎える学校です。両校とも今年度には卒業生が1000人を越える予定です。熊本駅のすぐ前にあり、交通アクセスが抜群によいということ、昨年開設した特養施設の「グッドライフ熊本駅前」が隣にあり、実践的な研修をいつでも行うことができ、より実践的な力をつけることができること、また、森都心プラザには市立図書館が入っており学習環境も整っている等の特色があります。
そして、両校に共通するのが、先生方が、徹底した個人面談を行うなど一人一人を大切にした指導が行われている。ということです。本日はその例として「学生面接記録用紙」を紹介します。これは頻繁に活用されており、必ず私の印まで据えるようになっていますので、学生情報の共有化が出来ています。少子高齢化が急速に進む超高齢社会の中で、医療分野に対する期待が高まり、予防医療も含めて、セラピストや看護師に対する社会からの要請には大変強いものがあります。また、セラピストや看護士という職業に対しては社会全体の評価が高く、収入も高く、仕事として安定しているという環境もあり、本校には4年制大学を卒業してから学んでいる学生たちもいます。
ぜひ、先生方には本学の取り組みをご理解いただき、一人でも多くの生徒さんにご紹介していただき、多くの生徒さんに希望してもらえることを強く望んでいます。

恕のたより vol.37

看護学科による「看護の日」の行事が行われました。

この行事は、「看護の日」にちなんで、特別講義の企画や看護協会などの催しに主体的に参加し、専門職業人としての看護職への自覚を高める。また、視野を広め、豊かな人間性を高め看護観を深めることをねらいとして企画されたものです。看護学科では、5月18日(金)に73名の2年生の参加を得て、ボランティア活動を行いました。
出発式にあたって、学生代表の中村くるみさんから代表挨拶を受けましたので、紹介します。

 

本日5月18日、看護学科9期生学生73名、看護の日の企画としてボランティア活動を実施させていただきます。
 今回の目的は、「これからの医療を担っていく看護学生に人々の健康を守り、増進していく看護の原点を考える機会とし、自分にできるボランティア活動を通して看護職への自覚を高め、豊かな人間性を養う」ことにあります。
 ボランティアの内容としては、熊本駅周辺の清掃活動、募金活動、グッドライフ熊本駅前入居者とのレクレーション活動を行います。
 「看護の心をみんなの心に」、というメインテーマのもと、各活動を通じて看護の心や助け合いの心を一人一人が分かち合い、地域の方々にもそうした心を育んでいただけるきっかけとなれるよう努めてまいりたいと思います。

心のこもった挨拶ありがとうございました。

※ 私の挨拶より
「看護の日」はナイチンゲールの誕生日5月12日に因むと聞いています。
熊本には第一次世界大戦中にフランスに派遣され、ナイチンゲール記章を受賞した竹田ハツメという看護師がいます。竹田ハツメさんは「私は飾り石のような華やかな人間になるより、裏石として目立たずとも、人を支える様な人間になることを臨む」というようなことを話されたそうです。まさしく、奉仕の根源はここにあると思います。
皆さんも今日の奉仕活動を頑張ってください。

※校長室前掲示板に、ボランティアの様子を紹介しています。

恕のたより vol.36

平成30年度入学式が挙行されました。

新年度になって初めての「恕のたより」をお届けします。

今回は入学式の式辞で新入生の皆さんにお願いしたい三つのことを要約して紹介します。

一つ目は「初志貫徹」ということです。皆さんのなかには自分に適しているのだろうかと多少の不安を抱いている人もあるかも知れませんが、少なくとも同じ目標に向かって一歩踏み出したことには間違いありません。この一歩を初志としてぜひ、国家試験合格まで志を貫き通していただきたいと願っています。在学中に皆さんは、困難や挫折に遭遇することがあるかと思いますが、その時、入学したときの初志に立ち戻り、気持ちを奮い立たせ、困難を克服してください。上天草市出身の森慈秀という人は、周囲から到底不可能といわれながらも「人が笑おうと俺はあきらめん。みんなの幸せを願って夢は叶う。」とあきらめずに己の初志を貫き通し、天草五橋を実現させました。皆さんも、それぞれの初志をねばり強く持ち続け、最終的には形あるものとして実現されんことを強く願っています。

二つ目は、私がこれまで言い続けていることですが、他人を思いやる「恕」の心を身につけてほしいということです。『中庸』に「忠恕は道を違(さ)ること遠からず。これを己に施して願わざれば、また、人に施すなかれ」という言葉があります。忠恕こそ人の行うべき道に近い。それはとりもなおさず、自分が人からしてほしくないと思っていることは、自分からも、人に対してしないという意味です。我が身を他人の身に置き換えて、他人の心を推しはかっての行動、そこには自分と他人とが共に生きる道が開かれています。

どうぞ新入生の皆さん、これから「恕」の心を育み、お互いを尊重し合い、有意義な学校校生活を送ってください。

三つ目は、「コミュニケーション力」を在学期間中にしっかりと磨いてほしいということです。私のいうコミュニケーション力とは、社交的であるとか、話好きであるとかいう性格や気性とは異質なものであります。セラピストや看護師には、対象となる相手を意識して、相手の言いたいことを的確につかむ人間理解力が強く求められています。その理解を己のこれまでの学びに重ねて、相手に還元していく知恵や技術こそコミュニケーション力であります。本学では皆さんに、コミュニケーション力を高める教育を行って参りますが、皆さんは皆さんでその力をみずから努力して積極的に磨いてほしいと願っています。

新入生の皆さんは、この世にたった一人しかいない存在であります。どうぞ、このかけがえのない存在を自覚し、「恕」の心を育み、社会の中でコミュニケーション力を発揮できる人材に成長され、初志を貫徹されんことを期待しています。

 

恕のたより vol.35

平成29年度卒業式が挙行されました。

- 学校長通信第34号 - 学校長 高野 茂

新年になってから、途絶えがちになっていました「恕のたより」をお届けします。今回は、私が、式辞で述べましたことを要約して紹介します。
昨今の新聞・テレビ等を見ていますと、人工知能と訳されるAIと言う言葉が頻繁に使われています。AIやロボティクスによって新しい付加価値が創造・開発され、革新的なビジネスやサービスが生み出され、私たちの生活様式が今後、一変するといわれています。また、AIによって将来的には日本の労働人口の約半分は代替可能になるともいわれています。このような「テクノロジー革命」ともいうべき事態を、幕末の西洋文明の流入と比較して、明治維新以来のイノベーションだと表現する人もいます。
この大きな時代変革の中で、私たちはどのように生きたらよいのでしょうか。
そのヒントが幕末明治の激動の時代を生き抜いた人たちの中に隠されていると思います。幕末の頃、西洋医学の導入などで医療界も大きな変革を遂げ、この熊本から多くの人材を輩出しました。近代医療の先駆者となった小国町出身の北里柴三郎をはじめ、北里と脚気論争を行ったことで有名な旧八代郡東陽村出身で日本衛生学の権威、東京帝国医科大学長を勤めた緒方正規(おがたまさのり)、西洋歯科医学の先駆者と言われる人吉出身の一井正典(いちのい まさつね)などが活躍しました。
この三角町からも濱田玄達という日本産婦人科の祖といわれた人物が出ています。彼は三角の里浦で生まれ、幼くして父を亡くし幼少期をこの波多村で過ごしました。やがて古城医学校に進み、現在の東京大学に進学、経済的に苦しみながらも蛍雪の功が実り、首席で卒業しました。その後ドイツに自費留学して帰国後、東京帝国医科大学長まで上りつめました。しかし、手術の際に目を痛め、視力の調節を欠き、学生を指導すべき教授としての良心が許さず大学を辞任しています。その後も日本産婦人科学会の会長を務めるなど会の発展に尽力し、我が国の産婦人科学のために偉大な足跡を残しました。
浜田玄達をはじめ北里たちに共通するのは、新しい西洋医学を取り入れ、研究に対する飽くなき探求心と真面目で真摯な姿勢であったと思います。
現在、「人生100年時代」と言う言葉がよく使われるようになりました。ある人はこの時代にはAIに代替されないようなスキルを付けることが必要として、五つの性格スキルを上げています。その中で尤も重要なスキルとして「真面目さ」をあげていました。その定義は「目標と規律を持ってねばり強くやり抜く資質」だと主張しています。

 これからの時代は、皆さん一人一人が新しい流れに即応しつつ、それぞれが掲げる目標にむかって真面目に、真摯な姿勢で取り組んでいくことが重要だと考えます。

もう一つ話しておきたいことがあります。それは、私が「校長室便り」の題にもしています他を尊重し「おもいやる」心、すなわち「恕」の心を持ち続けて欲しいと言うことです。「恕」という言葉は、孔子が弟子に一生守るべきことは何かを問われた時、「それ恕か、己の欲せざるところは、人に施すことなかれ」と答えたことに由来し、他を思いやる心であります。この精神は古今東西、社会の土台である人間関係を維持していくうえで最も重要な道徳律といわれ、多くの先人たちが座右の銘にしてきました。
不確実性の高い社会状況の中で、厳しい環境に置かれた人への思いやりの心を忘れず、常に他との関わりのなかで、自分を見つめ、「恕」の心を大切にしていくことが、これからの社会を構築していく礎(いしずえ)だと確信しています。